目次
プロローグ
約2年ぶりに実家に帰ってきた。就職を気に東京に出てきてからというもの、なんだか家に帰ろうという気が起きなかった。初めての社会人生活で、人並みに社畜な都会人らしい生活を送っていた私。一度家に帰ったら、なんだか東京という現実に戻れなくなってしまいそうで、何かにつけて帰るのを拒んでいたのだった。
そんな中の久々の帰省。親や地元の友達が、久しぶりの再会に飛び上がって喜んでくれて、少し心が軽くなった。
ふと帰ろうと思ったのには訳があった。
先日、母と電話をしていた時のこと、
母「クレジットカードが怖くて使えないの」「エーアイ?」「なんだっけあれ、テレビで最近言ってたやつ。カソウツウカ・・・!」「SIMフリーってなに?」
話が通じない・・・。
ーーこれは、やばいんじゃないか。実家には一応ネットもテレビも通っているはずなのに、うちだけ時代から取り残されて数年後に浦島太郎になっているんじゃないだろうか。
危機感を感じた私は、遠く離れた山奥の実家に急遽帰省することにした。東京駅限定のお茶菓子と落合陽一さんの著書「日本再興戦略」を手土産に。
「日本再興戦略」とは
今、日本で、いや世界で最も注目されているパラレルスーパーマン、落合陽一さんの著書です。科学者、アーティスト、大学准教授など様々な顔をもつ落合さんが書き記した「これからの日本を何とかする」ための戦略本。難しい言葉がいっさいなく、我々一般人も理解できるように構成された非常にわかりやすく親切な本です。
「日本再興戦略」の要約・名言まとめ
1. 日本という国家、国民をよく理解すること
落合陽一さんは、文中で事あるごとに日本あるいは日本人とはどういう素性のものであるかを語っています。また日本と常に対比で語られてきた「欧米」についても整理して理解する必要があると提言しています。まず、己を知ることから始めなければ物事は語れない、という訳ですね!
落合陽一さんの考える日本像
・日本人は公平にこだわるが、平等にはこだわらない
・西洋から輸入した「個人」という概念が合わない人種である。元来、我々には、西洋的な、依存なき個人に立脚する考えかたは戦略的に向いていないのです。
・日本人には、ワークライフバランスより、仕事と生活が一体化した「ワークアズバランス」のほうが向いている
・西洋的国民国家による中央集権体制は日本に向いてない。地形や自然というルールが多様なブロックチェーン的文化を持っており、地方分権が向いている
・日本人には、インド社会の「カースト」という文化があっている
2. 「日本再興戦略」のカギ
落合陽一さんは、「テクノロジー」が日本再興戦略のカギであると書いています。
テクノロジーの発達 例
・AIの発達
・自動翻訳の普及
・自動運転タクシー
・5Gの実用化
・バーチャルリアリティの世界が拡大
・テクノロジー恐怖症との戦い
→これらの変化と上手く付き合っていくことが、これからの時代、不可欠になっていくというわけです。
3. 落合陽一氏の考える「日本再興戦略」とは
では、落合陽一さんの考える具体的な戦略とは、一体なんなのでしょうか?ここでは、本に書かれていた中で私が特に共感できた内容についてご紹介したいと思います。
・日本人の機械親和性という強みを活かしてテクノロジーを有効活用し、武器にする
・ブロックチェーン(分散型の台帳技術)を駆使して非中央集権的な国家にする
・トークンエコノミー化により、将来性の高い人にお金が集まる仕組みを作る
・小学校では、好きなもの探し。高校では、社会のOJTを。大学生には研究をさせて、その分野におけるトップ・オブ・トップにならせる
あらゆる人が、職業のポートフォリオを組みながら、暮らしていくことになります。これまでの価値観では、1つのことを専門家としてするほうがかっこよく見えていますが、今後はいくつもの職業を掛け持ちすることが大切になってきます。
→ これは楽しそう。1つの会社に居続けるのではなく、いろんなコミュニティ、会社に属しながら、時と場合に応じて自分の能力を周りとシェアしていくことができたら、いろんな化学反応が生まれそう。
ワークアズバランス。生きていることによって価値を稼ぎ、価値を高める時代へシフト。
→日本人には、ワークライフバランスは相応しくない。なんでもかんでも仕事とプライベートを切り離して考える時短は必ずしもいいわけではなく、いかにストレスフリーに働くかが重要であるとするこの考えには、強く共感した。
ふと、少し前に話題になったサイボウズのコンテンツ「働き方改革、楽しくないのはなんでだろう」の動画を思い出す。
第1話の「残業編」なんてまさにそう。働く時間を短くすればOKなんてものじゃない。
サイボウズ 「働き方改革、楽しくないのはなんでだろう」を見る
落合陽一さんの名言
最後に、落合陽一さんの名言をご紹介。か、かっこいい・・・
「人類のよさは、モチベーションだ」リスクを取るほどモチベーションが上がるというのは、機械にはない人間のよさなのです。
「手を動かせ。モノを作れ。批評家になるな。ポジションを取った後に批評しろ。」悩んでばかりでは意味がない。とにかくまずはやってみる。その繰り返しの末にオリジナリティが生まれ、世の中を変えることができる。
他人が価値がないと思っている間にそこに価値を見出せ.
できれば,10年くらい後に価値があったと言われるような仕事で波状攻撃を仕掛けて,長い時間をかけてポジションを取らない批評家を駆逐しろ.— 落合陽一 (@ochyai) November 26, 2017
人生に悩んでる暇なんてないんだよね。まずはできることから始めてみること。
エピローグ
自宅について2日目の夜、私の乏しいボキャブラリーをひねり出して、なんとかこの戦略本のプレゼンを終えた。
日本は、今も、そしてこれからも変わり続ける。それも今までにないほどの速度で。その危機感と希望をただただ伝えたかった。
「すごいね、東京にいると、こんな情報がすぐ手に入るのね!」
ーーいやいや、車で30分いったところの書店で買えるし、ネットでも調べられるじゃん。
「ママもこの本読みたい。日本の未来が書いてあるのね。」
だから私は落合陽一の「日本再興戦略」を実家に置いてきた。
2か月後に再び会う予定なのだが、これを読んでどのようにマインドセットされているか、ちょっと楽しみである。
ちょっと前で言う、鉄腕アトムやドラえもんといったSFとこの本で決定的に違うのは、その未来予想図の根拠と方法が事細かに記されているということ。
そして何より、著者本人が「何もしなければはじまらない」こと自覚し、この戦略の実現に向けて、睡眠時間を削ってまで、今も考え動き続けているということ。
こんなに信用できる未来の提唱者が他に、どこにいる・・・?
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